明示的#
クラスのコンストラクタを修飾するために使用されます。その役割は、暗黙的な型変換を防止し、オブジェクトの初期化を明示的に呼び出すことのみを許可することです。
コンストラクタがexplicit
と宣言されると、コンパイラはそのコンストラクタを呼び出すために暗黙的な型変換を実行することを禁止します。つまり、コンストラクタを明示的に呼び出すことでオブジェクトを作成することしかできず、暗黙的な型変換は使用できません。
以下は、explicit
キーワードを使用した例です:
auto#
class MyInt {
public:
explicit MyInt(int value) : num(value) {}
int getValue() const { return num; }
private:
int num;
};
void printValue(const MyInt& obj) {
cout << obj.getValue() << endl;
}
int main() {
MyInt obj1 = 10; // エラー、暗黙的な型変換は禁止されています
MyInt obj2(20); // 正しい、コンストラクタを明示的に呼び出す
printValue(obj2); // 正しい、オブジェクトを引数として渡す
printValue(30); // エラー、暗黙的な型変換は禁止されています
return 0;
}
上記の例では、MyInt
クラスのコンストラクタがexplicit
と宣言されているため、暗黙的な型変換が禁止されています。MyInt
オブジェクトを作成するには、コンストラクタを明示的に呼び出す必要があります。これにより、予期しない型変換が防止され、コードの可読性と安全性が向上します。
注意すべきは、explicit
キーワードは単一の引数を持つコンストラクタにのみ使用できることです。デフォルトコンストラクタや複数の引数を持つコンストラクタには適用されません。
auto x = 5;
auto y = 3.14;
std::vector<int> v = {1,2,3};
auto it = v.begin(); // it はstd::vector<int>::iteratorと推論される
auto
は、範囲ベースのfor
ループでもよく使用され、イテレータの構文を簡略化することができます。
実装原理#
C++11 のauto
キーワードは、型推論メカニズムの一種です。変数をauto
で定義すると、コンパイラはコンパイル時にその変数の初期化式をチェックし、具体的な型を推論します。このプロセスは完全にコンパイル時に行われ、実行時の型チェックや変換は行われません。
使用シーン#
auto
の使用は主に次のような場面で行われます:
- 複雑な型の宣言を簡略化するため:特に STL コンテナのイテレータなど、複雑な型が関わる場合、
auto
を使用するとコードを簡略化できます。
std::map<std::string, std::vector<int>> complexMap;
for(auto it = complexMap.begin(); it!= complexMap.end(); ++it){
// 何かを行う
}
-
ジェネリックプログラミングに使用するため:テンプレートプログラミングでは、型がテンプレートパラメータに依存する場合、
auto
を使用するとコードを簡略化し、柔軟性を高めることができます。 -
自動型推論:一部の複雑な式、特に
Lambda
式や他のランタイムでのみ型が確定する場合など、いくつかの複雑な式では、auto
を使用して型推論を自動的に処理することができます。
パフォーマンスへの影響#
auto
の使用は、直接的なパフォーマンスへの影響はありません。なぜなら、auto
は型推論をコンパイル時に行うだけであり、実行時のオーバーヘッドは増えません。実際、暗黙的な型変換によるパフォーマンスの問題など、いくつかの一般的なエラーを回避するのに役立ちます。
ただし、auto
を過度に使用すると、特に推論される型が明らかでない場合、コードの可読性が低下する可能性があります。そのため、型が明確であり、コードの明瞭さと保守性を向上させるのに役立つ場合にのみ、auto
を使用することをお勧めします。